マイクとマウンド、夢の向こうへ

ノートを胸元に抱えながら、静かに目を伏せる。

——勝った。
——でも、ヨッシーは、痛みを隠していた。
——私にだけは、気づかれたくなかったんだ。

胸の奥を静かに締めつけた。

 ふと、ベンチ裏から戻ってきたヨッシーが、深明の前に立った。

「……勝ったぞ」

その声は、少しだけ掠れていた。

深明は、何も言わず、そっと彼の手を握った。

「……うん。
 でも、無理しないで。

 私には、隠さなくていいから」

ヨッシーは、少しだけ目を見開いて、そして微笑んだ。

「……バレてたか」

「当然でしょ。

 私、誰よりも、ヨッシーのこと見てるんだから。
 ……何年、一緒にいると思ってるの」

 ふたりの手のひらが、静かに重なった。

勝利の熱狂の中で、誰にも見えない場所で交わされた、
たったひとつの“本音”。

それは、甲子園への道の途中で、
ふたりが確かに“支え合っている”ことを証明する瞬間だった。