マイクとマウンド、夢の向こうへ

深明はベンチ裏でノートを広げ、9回からマウンドに上がる後輩・佐藤の投球を観察していた。

 巽先生がそっと声をかける。

 「次のイニングは佐藤に任せる。

 分析、頼むぞ。

 ベスト4入りはお前たちに掛かってるからな」

深明は頷き、ペンを握る手に力を込める。

 チームの勝利のため、分析は一瞬も怠れない。


 ノートには、佐藤の球速と投球フォームの特徴が簡潔にまとめられている。

 
•ストレート:142〜144km/h、リリースはやや前傾気味で腕の振りが力強い。低めに決めれば空振りを狙える。

•スライダー:外角へ落ちる軌道、リリースでわずかに手首を返して打者のタイミングを外す。

•直球(低め):最後の打者用、内角低めに安定。リリース位置はストレートより少し内側でゴロを誘える。

深明はこのメモを見ながら、各打者への攻め方を頭の中で整理していく。

――9回。

マウンドに立った佐藤は、力強いストレートで先頭打者を空振り三振に仕留めた。

 続く二番打者は外角スライダーで二ゴロに打ち取った。

 最後の三番打者には低めの直球を決め、三ゴロ。

 見事、無失点で試合を締めくくった。