マイクとマウンド、夢の向こうへ

深明はノートPCを開き、マシンが記録した投球データを部員たちに示した。

 「ここ、腕の振りが少し遅れてると球速が落ちる。

 ここは体重移動のタイミングを一歩早めると回転が安定する」

部員たちは画面の数値やグラフを見ながら、順番に投球を試みる。

「おお、俺も球速が3キロ上がった!」

 一歩踏み込むタイミングを意識しただけで、球速が自然と伸び、打者は思わず後ずさりする。

「腕の振りを一定にすると回転が安定するんだな」

 もう一人は腕の振りをスムーズに揃えることだけを意識して投球。

 マシンの回転数表示が安定する様子に、部員たちから小さな歓声が上がった。

深明は部員一人ひとりに声をかけながら、修正ポイントをメモに書き込む。

 「フォームのクセは数値で見えると直しやすいね。

 自分の投球を客観的に見るだけで、伸び代がはっきり分かる」

ヨッシーも再びマウンドへ。

 深明の指摘を意識して投げたスライダーは、打者の手元でしっかり落ち、空振りを奪う。

 「これだ……!

 データって、こんなに頼りになるんだな」

部員たちの間に自然と競争心と高揚感が生まれる。

 互いに球速や回転数を確かめ合いながら、マシンの解析を軸にした練習が進んでいった。

 深明は傍らでその様子を微笑みながら見守った。

 「数字で見えると、誰もが納得しやすい。

 分析って、こういう楽しさがあるんだ…」

練習が終わる頃には、部員全員が自分の投球の改善点を理解していた。

 それを数値で確かめながらも、次に向けて準備する充実感で満ちていた。

 ——私の言葉が、誰かのプレーを変える。
——それって、私にしかできないことかもしれない。

 夢への一歩は、確かに踏み出されていた。