「だってパンケーキ作るのより、ダンスのほうが楽しいんだもん!」
 と、ミナ。
「パンケーキばかり食べてると太っちゃうし~」
 ユナもブツブツ。
「あら、パンケーキ作りもダンスもどっちも楽しいじゃない。両方やるのはダメなの?」
 そうモエは提案しましたが、
「だって、うちの店の制服ダサいんだもん」
 アナが、ジロッとレナのかっこうに目をやりました。
 レナが着ているのはシンプルな無地のエプロンドレス。
「これも悪くはないけど……」
 と、つぶやくネル。
 レナちゃんのおねえさんたちを、やる気にさせるにはどうしたらいいかな?
 ネルは、広い広い花畑をながめました。
「そうだ!」
 ネルのハサミが、キラリと光りました。

「いらっしゃいませ~♪ ふわふわパンケーキ、ただいま焼き上がりました♪」
 ここは、レナたちのいるパンケーキのお店。
「ごいっしょに、ハニーソーダはいかがでしょう?」
 あれほどはたらくのをイヤがっていたおねえさんたちも、まるでみちがえるようにウキウキしています。
 それもそのはず。
「わぁ、なんてカワイイ制服なの!」
 お客さんたちから歓声が巻き起こります。
 そう、彼女たちが着ているのはネルとモエが作った新しい制服。
 色とりどりの花畑の景色を切り取ってぬったエプロンドレスに、たくさんの花をあみこんだリボン。
 とってもはなやかなうえ、お花のやさしい香りがただよってくるようです。
「どうもありがとうございました。ネルさんたちのおかげで、おねえちゃんたち、パンケーキ作りにもやる気が出たみたいです。わたしもこの制服、とっても気に入ってます」
 レナが、ネルたちにていねいなおじぎをしました。
「わたしたちのほうこそ、いろいろありがとうレナちゃん。花畑でつんだお花で、ステキなティアラを作るからね」
「レナ~、早く! こっち来て~」
 おねえさんたちがレナを呼んでいます。
「あ、ゴメンなさい。じつは、このお店でもダンスショーをすることになったんです。わたしも練習しないといけなくて」
「へぇ、そうなんだ!」
 ダンスも見れるパンケーキ屋さんって楽しそう!
「ねぇねぇ、ネルたちもいっしょにおどろうよ!」
 アナがちょいちょいと手まねきしました。
「えっ、わたしも?」
 モエじゃなくて?
「そーよ、ネルはあたしたちに勝ったんだから。カッコいいダンス見せてくれないと!」
 ミナもユナも、そうそう! と、うなずいています。
「やろう! ネル」
 モエがニッコリと、ネルに向かってほほえみかけました。