「モエ……」
 そこで、ネルは決心しました。
「わたしがやるわ!」
「えっ?」
「まだ勝負は終わってない。わたしがモエの代わりにおどるから!」
「いいのかよ、ネル? ダンスなんてやったことねーのに」
 パンぞうがオロオロしながら見守っています。
「ふふふ、何回やったって結果は同じだけどね」
 妖精たちは余裕の表情でネルを見つめます。
 モエ、あんなにがんばってくれた。わたしのティアラ作りのために。
 モエみたいにうまくおどれないけど、あんなにきれいなターンはできないけど、わたしも、やれるだけはやってみよう!
 ネルは、ゆっくりとですが、くるくると回りはじめました。
 一回、二回、三回……。
「いつまでできるかしらね? せいぜいがんばりなさいよ」
 妖精たちのイジワルなつぶやきが聞こえます。
 だけど、ネルはくじけずに、妖精たちに負けないよう必死に回りつづけました。
 そして時間は流れて――。
「はあぁ~、もうダメ~!」
 コロコロ~ッ! と花畑にころがったのは、アナ、ミナ、ユナ妖精たち三人。
「やったな、ネル! って、おい、ネルったらネル!」
 コマみたいに回っているネルの肩をパンぞうがたたき、ネルはようやくピタッと止まりました。
「あれっ? わたし……」
 ポカンとしているネルを、
「すごいね、ネル!」
 と、モエがギュッとハグしました。
「すごい?」
「ネル、ダンス対決に勝ったのよ! あの妖精の子たちよりたくさんたくさん回ったのよ!」
 勝った? わたしが?
「回りすぎてバターになるとこだったぜ。ネル、空飛ぶのとくいだから、からだのバランスとるのがうまいんだな」
 パンぞうもネルをたたえています。
 ネルは急にからだが熱くなってきました。
「ふえーっ、勝ったなんて信じらんない……」
 そして、空気のぬけたふうせんのように、花畑にダウンしてしまったのです。
「おねえちゃんたち~、そろそろ店番てつだってよ~」
 そこへ飛んできたのは、パンケーキのお店の女の子、レナ。
 三人の妖精たちが、まずい! と顔をしかめました。
「ごめん、レナ。あたしたち、おどりすぎてつかれちゃったの」
「もーっ、そう言って、いっつもわたしばかりにパンケーキ作り押しつけるんだから」
 三人の妖精たちにプンプンのレナ。
「ねぇ、あなたたちって」
 起き上がったネルがレナにたずねると、
「はい。わたしたち四姉妹なんです。でも、おねえちゃんたちはダンスに夢中で、お店のことはいつもほったらかしで」
 と、困ったようにうつむきました。

【クイズ】
妖精の四姉妹の名前はなんだったかな?
①赤いチューリップのぼうしの子は?
②青いチューリップのぼうしの子は?
③黄色いチューリップのぼうしの子は?
④白いチューリップのぼうしの子は?
(こたえ①アナ②ミナ③ユナ④レナ)