もう分別のある 大人ですから

朝、目が覚めると冬馬はまだ隣で眠っていた。
昨日の夜はどうかしてた。
もう冬馬の寝顔を見ても何とも思わない。
まだ当分起きる様子のない冬馬に布団を掛け直し
夏希はシャワーを浴びにお風呂場へ向かった。
お風呂を出ると、メイクをサッと済ませて、パンを焼いた。今日はなんだかお腹が減っていて気持ち悪くもなくて、朝ごはんを食べられそうな気がした。卵とソーセージも焼いてお皿に盛り付けた。冬馬を起こそうか迷ったけど、そのままにして、冬馬のご飯だけをラップして、夏希はひとりで先に食べた。
夏希の頭の中は、どうやって別れ話を切り出そうかを考えていた。
ごちゃごちゃ考えているうちに食べ終わり、お皿を洗っていると、ようやく冬馬が起きてきた。
上半身裸のまま、皿洗いをする夏希に後ろから抱きついた。
夏希の身体にギュッと力が入った。
「冬馬」
「ん?」
水道の水を止め、ゆっくり息を吸う。
「別れて」
「…は?」
冬馬は夏希の顔を覗きこんだ。
「別れたい」
つい昨日まで身体を交わした相手に抱きつかれながら言うにそぐわない言葉。
冬馬はきっと昨日の夜からの甘い時間を期待して抱きついてきたに違いない。
だけど、夏希の心は決まっていて、冷たい口調で淡々と言葉にした。
「なんで?こんな急に」
夏希は冬馬の方へ振り返った。
「前からずっと考えてた。」
「いや、理由になってねぇし、、アイツが理由?でも昨日彼氏いるって言ったって言ってたよな?どういうこと?意味わかんねぇし」
冬馬の口調は段々と荒々しくなっていった。
「半分そうで半分違う。」
「やっぱあの男かよ、そいつに合わせ」
「待って、ちゃんと聞いて」
「たしかにあの人にちょっと惹かれてるところもあったよ。だけど、あの人とはこれ以上関わる気はない。だから線引きしたの。それと、私は冬馬との将来を考えられないの。これ以上冬馬とどうなりたいとも思わないし、もうあなたのことは好きじゃない」
「は?意味わかんねぇよ。あいつのこともだし、俺とのことも。何がダメなの、、?だったら何で昨日あんな風になってたわけ?好きでもない男にやられて気持ちよさそうにしてたよな?なにあれ?誰にでもあーいうことすんの?、あいつとももうやったのかよ?」
「いい加減にして!そういうんじゃないし。冬馬のそういうところ、もううんざり」
「俺は別れる気ないから」
「別れるの。もうここにも二度と来ないし。」
夏希は玄関へ向かおうとした。
「おい、待てよ」
冬馬は夏希の手を引っ張って床に押し倒した。
夏希は全身に力を入れて抵抗するもびくとも動かない。
「いやっ」
冬馬は嫌がる夏希に無理やりキスをして服に手を入れ始めた。
「愛してる、マジで夏希がいなくなるとか無理だから」
嫌なのに、いやらしい手つきで強引に触られて気持ち悪いのに何も対抗できない。逃げようと蹴ったり叩いたりするけれど、それより強い力で押さえつけられ、殴り返された。
「離して!やだってば、やめて!」
華奢な夏希は男の力には勝てなかった。
「いやじゃないだろ、昨日だってあんなに気持ちよさそうだったじゃん」
冬馬は夏希のズボンと下着を脱がせ始めた。そして自分のズボンも腰に下ろした。
抵抗も虚しく、余計に危害を加えられるのが怖くて、さっきみたいに派手に動くのは諦めた。
「ねぇわかってる?これレイプだよ、犯罪だから」
「何言ってんの?付き合ってんだから関係ねぇし」
そういうと冬馬は始めようとした。
「待って!せめてゴムだけはしてよ、お願いだから」
夏希は目に涙を溜めながら懇願した。不安と恐怖で心が壊れそうだった。
「結婚しよ。責任取るし、問題ないだろ」
勢いよく奥まで一気に入れた。
夏希は泣きじゃくりながら必死に頼みこんだ。
「いやぁ、やだぁっ、おねがぃ、抜いてぇ〜!」
冬馬には何も聞こえていないようだった。
この地獄のような時間が早く終わることを願いながらされるがまま、身体だけが揺らされる。
だんだんと冬馬の動きが派手になり
「夏希っ、、、好きだよ、、愛してるっ、これからもっ、ずっと一緒に暮らそう、ずっと、一生、ぁっ、んっ」
冬馬は夏希の中で果てた。
冬馬のが出ていくと同時に夏希の中から溢れ出るものがあった。
夏希は泣きながら走って玄関を飛び出し、服を軽く直して途方もなく走った。
朦朧とした意識の中なんとか家まで辿り着くと、家に入るなら玄関でしゃがみ込んだ。
湿っている股間の気持ち悪さと、妊娠の恐怖、これからの生活の不安が一気に押し寄せてどうしていいのかわからなかった。
玄関で涙が枯れるまで泣いたあと、放心状態になりながらお風呂場へ向かった。ズボンを下ろし、下着も脱ぎ、ゴミ箱に投げ捨てた。
シャワーを浴びるとすぐにベッドに横たわって目を瞑った。