『屋台の店員が移動した。祭り会場出ようとしている。恐らくここの隣にある神社の方へ向かったかと』
橘先輩からの情報が入る。
よしっ!私たちの出番だ。神社方面へ向かう。
怪しまれないよう、夏祭りを楽しむ2人に見えるよう、手は繋いだまま……
これはある意味お仕事。集中しなきゃ、しっかりしなきゃ……そう思うけれどドキドキしてしまう。
そんなことを考えていると、日向くんの足が止まった。
「いた」
「え?あの人?」
日向くんが前を歩いている人を見て小声でつぶやく。
考えてみたら、チラッとしか見てないので、屋台の店員だという確証が持てない。
……しまった。
「間違いないよ、記憶と一致してる」
そうだ、日向くんの瞬間記憶があったんだ。すごい、大活躍。
その人は予想通り、会場の隣ある神社にそのまま入って行くのが見えた。

