恋愛に疎い私だって、浴衣着て夏祭りに来ている2人が周りからのどう見られているのかはわかる。
フリだけど……周りの人はそんなことわからない。色々な人に誤解されて、日向くんは迷惑じゃないのかな。
「別に付き合っているフリまでしなくても……日向くんの気持ちをないがしろにしているみたいで申し訳なくて」
そう告げると、日向くんが足を止めてこちらを向いた。久々に目が合った気がする。
「気持ちがあればいいの?」
「え?」
日向くんが急に真剣な顔になって、私の髪飾りに触れた。
「俺は……」
『こちら鑑定完了。屋台の店員はジュエルなし。売っているものや景品のストーンらしきものは全てジュエルストーンで確定』
「…………」
橘先輩からの言霊が届いた。水瀬先輩の鑑定が終わった合図だ。

