それ以来彼女のことが気になるようになり、その思いは加速していった。
テストでも彼女にこのまま認識されたいと思い、今まで以上に勉強した。けれど同時に、瞬間記憶のことで心は苦しくもあった。
廊下ですれ違えば、嬉しくなった。そういう場での彼女は一切俺を認識してなかったけど……
図書館で勉強している彼女を見かけた時は、さりげなく近くに座って勉強した。やはり彼女は一切俺を認識してなかったけど…
今まで、ジュエル持ちというだけで進路も決められ、ただ繰り返されるだけだった学校生活が、毎日楽しみなものになっていた。
中等部にあがって初めて同じクラスになった時には、とにかくうれしかった。
毎朝おにぎりを頬張っている姿が可愛すぎる。
今思えば、副作用の反動で、常に空腹にならないようにしていたのかもしれないけれど。
最初のテスト後、先生にちょうど前任者が高等部にあがって不在だった治癒部門のリーダーにならないかと言われたときは、やっかみの件が頭をよぎって断ろうかとも思ったけれど、そのウワサを聞いた彼女が「すごいね」と言ってくれていただけで、引き受けることを決めた。
不純な動機だが、中学生男子なんてそんなものなのではないか……
今では、人として尊敬もできるすごい先輩たちに出会えて、引き受けて良かったと思っている。

