ジュエル♡ハント~治癒王子は愛しの彼女を過保護に守る~



夜兄の問いに、クリスタルのみなさんの視線が電子部門のリーダーの藍野先輩の方へ向く。

それを見て、納得したようにうなずく夜兄。



「なるほど、ホワイトハッカーか。恐らく学園のサーバ上のかなり奥深くまで潜らないとこの情報は見られないはず」

「そこまでサイバー侵入したのか。想定以上、すごい能力だねぇ」




無言で頷く藍野先輩。やっぱりすごい技術なんだなぁ……

水瀬先輩の方を向いて、夜兄が続ける。



「キミのさっきの話、半分正解。俺は確かにジュエル消去を持っているし、執行官に就いていた。ただ、それは過去の話。今はそのポジションは辞めていて、ジュエルハンターのみ。これは本当」

「執行官を辞めた理由はいろいろと。ただ2人に手伝ってもらっている理由はさっきの通りだし、悪いことに巻き込むつもりもない。これも本当」

「むしろこの2人は能力も高くて、危険を顧みず突っ走っちゃうところがあるからねぇ…一緒にやって危険にさらさないよう俺が監視しているくらいなんだよねぇ」


アラート音は鳴らないし全て夜兄の本音なのだろうな。

夜兄が話してくれた以上のことは私は知らない。

けれど、心の奥がズキンとするくらいに夜兄の過去は複雑かもしれないということと、私たちを想ってくれる気持ちが伝わってきた。