ふと、昨日のあの場でのアラート音が鳴った日向くんの発言を思い出した。
――「ラピスラズリのファンだったし、ちょっとしたツテで潜入させてもらったんだ。そんな時にまさか橙山さんって気づくとはね、驚いたよ」――
もしかして……「ラピスラズリのファン」って部分ではなくて、「そんな時にまさか橙山さんって気づくとはね、驚いたよ」って部分でアラート音が鳴ってたの!?
前から気づいていた、驚いてないってこと……?
む、難しい……!
「さ、行こっか」
先輩たちのニヤニヤした生温かい視線に気づいてハッとする。
1人でグルグル考えていたのを見られていたと思うと恥ずかしい……
クリスタルルームを出ようと歩き始めたとき、頭に大きな手が乗せられた。
振り向くと、そこにはまだ少し赤くなっていて、ちょっとムスッとした日向くん。

