「…………」



空き教室の壁に寄りかかった私と、向かい合うように日向くんが立っている。

なにか言わなきゃだけど、口が動かない。なんなら先に言ったら負けなのでは……とよくわからない対抗心でいる。

すごく長く感じた沈黙の後、日向くんが口を開いた。



「さっきはありがとね」

「いや……むしろ助けてもらっちゃって……お礼を言うのは私の方だよ」

「ああやって言ってくれて嬉しかった……でも……ごめんね」

「?」



突然謝られて、?マークが浮かぶ私。

さっきまでの余裕そうな表情じゃなくて、思いつめた表情になっている日向くん。



「どうしたの……?」

「あいつらが言っていたこと……間違ってないんだ」

「?」



更に?マークが浮かぶ。

ふぅっと一呼吸して、日向くんが口を開く。



「俺には……瞬間記憶のジュエルがあるんだ……」



突然の告白に驚きすぎて言葉が出なかった。

頑張って頭の中で情報を整理してみるけれど、理解が追い付かない。