「ふぅ…もう夏だなぁ」
鮮やかな新緑に囲まれたこの道を通って校舎へ向かう時、今日も1日始まるなぁ……ってワクワクしちゃう。
私は、橙山 琥珀(とうやま こはく)、国立ダイヤモンド学園中等部の1年生。
中学生として勉強も頑張りながら、友達と楽しく学園生活を満喫中。
だけど……ここは普通の中学校と1つだけ違うところがあって……
びゅんっ!
突然、私の体の横を突風とともに何かが通り過ぎて行った……ような……速すぎてよく見えなかったけれど。
「こらー!校内で許可なく無意味にジュエル使うの禁止ですよ!」
「げっ……すんませんっ!」
通り過ぎて行った何かの正体である、生徒と思われる人が、遥か前方で先生に怒られているのが聞こえてくる。
そう、普通の中学校と1つだけ違うところ……
それはこの学校が不思議な力「ジュエル」を持っている子だけが入学できるってこと。
ジュエルを持っている子は生まれつき体に宿っていて、物心がついたころからその力に気づくことが多くて。
不思議な力の内容は人それぞれで、心が読める、治癒能力、瞬間記憶…など色々あるんだ。
この学園でジュエルの使い方を学んだり、その技を磨く訓練をするから、今の私たちのジュエルはまだ発展途中。
だから常に効果を発動してしまうようなジュエル以外は、基本的に許可がないと発動させてはいけないの……と言っても、みんな軽いものは先生の目を盗んで使ってしまってるんだけどね。
今の子は超脚力の持ち主なんだろうな、きっと。
私のジュエルは……まだ秘密、へへっ。

