楽しい時間はあっという間だ。日も傾いてきたころ、俺は琥珀に提案した。
「チュロス食べない?」
「食べたい!私もそう思ってたの!」
笑顔で嬉しそうにしている、可愛い。
今日1日、琥珀がチュロスのワゴンを見るたびに食べたそうにしていたのを俺は知っている。
彼女がそれを言わなかったのは、俺にポップコーンもお願いしたから遠慮したのだろう。
そういう遠慮がなくなる関係をこれから築いていきたい。
琥珀はチョコレート味、俺はシュガーのチュロスを買った。
「橙山さんのもちょうだい」
パクっと琥珀が持っているチュロスを食べた。
「俺のもどうぞ」
そう言って、持っていたチュロス差し出すと彼女は赤くなり照れた。
えっ……でも……日向くんの食べかけ……とかもごもご言っている。可愛い。
「何今さら照れてんの。もっとすごいことしてるでしょ」
ニコリと笑ってわざと言ってみると、もうっ!とか言いながらも結局食べている。
意地悪言って困らせたいわけではないが、彼女の反応が可愛すぎてついつい言ってしまう。

