悪事を働いたとはいえ、人からジュエルを消し去る。俺がジュエル消去を発動させようとする意思一つで……精神的にきつかった。

悪事を働くやつほど、ジュエルに依存していたり、ジュエルを持っている自分が全て、という考えを持っていることが多い。

そんなやつからジュエルを奪うことは……その人の人生を奪うのと同じようなものだ。

確かにそれだけの悪いことをしている……けれど俺にはそこまで背負うことはできなかった。



2年で執行官を辞め、転職しようとした。

ただ、所詮はジュエルを持っているだけの若造。執行官という特殊な職だったから、一般社会の右も左もわかっていない。

途方に暮れていたとき、声をかけてくれたのが、新聞社の記者の日向さん。つまりは黄輝くんの父親だった。

日向さんとは執行官時代に、取材に来た記者と執行官の立場で何度も顔は合わせていた。

隠密と瞬間記憶のジュエルを持つ日向さんは記者が天職のようで、俺とは違い誇りを持っていた。

一回り以上年上だが、柔らかい物腰で、いつも俺のことを気遣ってくれ、俺の葛藤を理解してくれていた。

そんな日向さんがジュエルハンターを勧めてくれた。