先日の最終作戦会議から数日。運命のハロウィンフェスが明日に迫っている。
部屋にいるのも落ち着かなくて、学園の中庭で夕暮れのお散歩をしていたところ。
中庭の池にかかるこの橋は私のお気に入りスポットなんだ。
ウィングへ戻る門限間際なこともあって、人はほとんどいない。
私もそろそろ戻らないとなぁ……と思ったとき、後ろから声をかけられた。
「なにしてんの、こんなところで」
「日向くん!」
振り向くと、かけられた言葉の通り、なんでここに?と呆れたような顔で私を見ている日向くんがいた。
「ちょっと気持ちを落ち着かせるためにお散歩していたんだ。ここね、夕日がきれいなんだよ。しかも時間によっては学園の大時計の鐘の音を聞きながら……素敵でしょ?」
ゴーン、ゴーン……
ちょうど18時の鐘の音が鳴り、夕日に照らされた日向くんが、そうだねと微笑んでくれる。
2人でなにも話さず、橋の上で鐘の音を聞く。少しずつ涼しくなってきた秋風を感じて、沈黙だけど心地よい空間。
心なしか、日向くんからも緊張が伝わってくる。そうだよね、日向くんほどの人だって、明日のことを思うと緊張するよね。

