学園一のモテ女は、塩対応男子に夢中です!

玲奈
ついに文化祭当日。劇のセリフは完璧に覚えた。もちろん仕草も、表情も完璧。

「私がヒロイン役をするからには絶対にこの劇、成功させてやるんだから!」

と、張り切っていたのはいいものの、なんだかんだ本番となると緊張する…ちゃんとセリフ言えるかな、緊張して表情固くならないかな…なんて、考え出すと止まらなくなる。

リラックス、リラックス…落ち着いて、八雲玲奈。
そう自分に言い聞かせる。

出番前まで舞台裏から見守っている。

いよいよ登場、私は深呼吸をし舞台に上がっていく。

私が舞台を上がると歓声があがりとても嬉しい…

いつもの玲奈と違って儚げで「白雪姫」を表現している姿に観客たちはざわざわしている
「あれ、本当に玲奈ちゃん?」
「…綺麗、いつもの玲奈じゃないみたい。」

────…‪‪❤︎‬
ナレーション
魔女「美しいお嬢さんに贈り物だよ、」
そう言って白雪姫にリンゴを渡してニヤッと笑みを浮かべている。白雪姫は魔女にリンゴを貰うと
白雪姫「まぁ、なんて綺麗なリンゴ…おばあさんありがとう」そう言ってリンゴを1口齧ると白雪姫姫はバタリと倒れてしまいます。そして目を覚ますことはありませんでした。

白雪姫が死んだことに気付いた小人たちは悲しみ、涙を流します。
「せめて、美しい白雪姫がいつでも見られるように、」
と、ガラスの棺の中に白雪姫を寝かせて、森の中に置きました。

そしてある日、1人の王子が森の中で白雪姫の棺を見つけたのです。

荘厳な音楽とともに、王子役の律が登場する。
彼は冷静に舞台へ足を踏み入れ、玲奈の眠る姿の前に立つ。

会場がざわつき始める
「え、あれ律くん?雰囲気変わっててめっちゃかっこいい…」
「王子役似合ってる…かっこよすぎる…」

────…♡

何こいつ。いつもと全然雰囲気違うじゃん。余裕ぶった顔じゃなくて、なんて言うか、守ってあげたくなるような…

律は1歩近付き、観客に聞こえない程度の小さな声で呟く。

『はぁ…ほんとずるいわ。』

そう言って深呼吸すると、いつもの落ち着いた様子に戻り王子としてのセリフを口にする

『なんて綺麗な姫なんだ。…まるで眠っているかのようだ。』

律は玲奈の頬に手を添え棺に身を乗り出し、玲奈の唇へと影を落とす。

律の手が2人の口元を隠し、観客からは見えないように、唇を重ねる寸前で止める。

その瞬間玲奈は目をゆっくりと開けると、すぐ目の前には律の顔がある。

…ち、近…ッ、!びっくりした、え、本当にキスしてないよね…
なんで、こんなにドキドキしてんの…?

頬を赤らめている玲奈の姿をじっと見ると、律は玲奈の耳元で囁く。

『なぁ、それ演技?それとも…本当に照れてるの?』

❥┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❥‪