北川東高校の見学の日から2日が過ぎ、英知高校見学の日。
英知高校は電車とバスで通学し、北川東高校より少し遠く1時間半ほどかかる。
けれど、もっと遠い高校に通っている人もいるし、通えないことはないと思う。
ただ、学力面に少し不安がある。
学校の基準としては偏差値74 内申はほぼオール5とされているが、私は偏差値67 内申42なので、少し厳しいかなとも感じる。
ただ、その不安を掻い潜るかのように、校門をくぐった一瞬で胸が高鳴ってしまった。
目の前に広がる校庭では、スケートボードで技を決める先輩たちの歓声が響いている。
この高校は、学力入試だけでなくスポーツや芸術、様々な分野の推薦生徒がいるということが大いに感じられた。
多様な才能が集まる場所で、自分も何かを見つけられるかもしれないという希望を見出してしまった。
隣にいるゆうやを振り返ると、スケートボードに真剣に見入っていて、人一倍拍手を送っていた。
「ここが図書室だよ」
生徒会が指揮する学校見学について行く。
案内役の生徒が微笑む中、ふと目に留まったのは真剣にノートを広げる先輩たち。
笑顔で難しい問題を解き明かしていて、とてつもなく楽しそうな姿だった。
その奥には、自分だけの空想世界をキャンパスに彩る美術部の先輩たちがいて、1人1人が自分だけの世界を作っているようだった。
「ここは部活もたくさんあるし、どんなことにだって挑戦できる。自分の可能性を最大限生かせる環境が整っているよ」
案内役の生徒が偽りのない笑顔でそう言った時、楽しそうな想像が思い浮かんでしまった。
バスに差し込む日差しが窓際の席を暖める。
昼下がりの空気はゆったりとしていて、エンジンの音ともに流れる風景はスローモーションのようにゆっくりだった。
赤信号にバスが止まった。
「価値なんて、みんな同じなんだよね」
何気なく出てしまう一言に、自分が怖がっているのが分かる。
「誰が死のうと、その人の周りが悲しむ程度で、世界は変わらず回っていき、誰にだって代わりはいて、それはとても残酷なこと。だけど、それなら好きなように楽しく生きればいいのにな。どうでもいい価値とかに囚われずに、生きて行けたらいいのにな」
羨望とか、嫉妬とか。
そんな感情に振り回されることなく、自分らしく生きていられたらなんて思った。
「そうだね。きっと、そっちの方が楽しくて心地いいんだろうね」
「だね」
信号が青に変わって、バスが進む。
「英知、行こうかな」
気持ちがスッと晴れ渡るような健やかさ。
「いいと思うよ」
車窓が移り変わって景色が変わっていく。
その景色の中に、未来の自分が重なって見えた。
制服を着て、仲間と笑い合いながら校庭を歩く姿。
図書室で真剣に勉強する自分。
放課後、部活帰りに友達と寄り道して笑い合う時間。
不安もあるけれど、それ以上に楽しみが膨らんでいく。
挑戦することは怖い。
だけどその先にある景色を見てみたい。
その思いが胸の奥で静かに灯った。
英知高校は電車とバスで通学し、北川東高校より少し遠く1時間半ほどかかる。
けれど、もっと遠い高校に通っている人もいるし、通えないことはないと思う。
ただ、学力面に少し不安がある。
学校の基準としては偏差値74 内申はほぼオール5とされているが、私は偏差値67 内申42なので、少し厳しいかなとも感じる。
ただ、その不安を掻い潜るかのように、校門をくぐった一瞬で胸が高鳴ってしまった。
目の前に広がる校庭では、スケートボードで技を決める先輩たちの歓声が響いている。
この高校は、学力入試だけでなくスポーツや芸術、様々な分野の推薦生徒がいるということが大いに感じられた。
多様な才能が集まる場所で、自分も何かを見つけられるかもしれないという希望を見出してしまった。
隣にいるゆうやを振り返ると、スケートボードに真剣に見入っていて、人一倍拍手を送っていた。
「ここが図書室だよ」
生徒会が指揮する学校見学について行く。
案内役の生徒が微笑む中、ふと目に留まったのは真剣にノートを広げる先輩たち。
笑顔で難しい問題を解き明かしていて、とてつもなく楽しそうな姿だった。
その奥には、自分だけの空想世界をキャンパスに彩る美術部の先輩たちがいて、1人1人が自分だけの世界を作っているようだった。
「ここは部活もたくさんあるし、どんなことにだって挑戦できる。自分の可能性を最大限生かせる環境が整っているよ」
案内役の生徒が偽りのない笑顔でそう言った時、楽しそうな想像が思い浮かんでしまった。
バスに差し込む日差しが窓際の席を暖める。
昼下がりの空気はゆったりとしていて、エンジンの音ともに流れる風景はスローモーションのようにゆっくりだった。
赤信号にバスが止まった。
「価値なんて、みんな同じなんだよね」
何気なく出てしまう一言に、自分が怖がっているのが分かる。
「誰が死のうと、その人の周りが悲しむ程度で、世界は変わらず回っていき、誰にだって代わりはいて、それはとても残酷なこと。だけど、それなら好きなように楽しく生きればいいのにな。どうでもいい価値とかに囚われずに、生きて行けたらいいのにな」
羨望とか、嫉妬とか。
そんな感情に振り回されることなく、自分らしく生きていられたらなんて思った。
「そうだね。きっと、そっちの方が楽しくて心地いいんだろうね」
「だね」
信号が青に変わって、バスが進む。
「英知、行こうかな」
気持ちがスッと晴れ渡るような健やかさ。
「いいと思うよ」
車窓が移り変わって景色が変わっていく。
その景色の中に、未来の自分が重なって見えた。
制服を着て、仲間と笑い合いながら校庭を歩く姿。
図書室で真剣に勉強する自分。
放課後、部活帰りに友達と寄り道して笑い合う時間。
不安もあるけれど、それ以上に楽しみが膨らんでいく。
挑戦することは怖い。
だけどその先にある景色を見てみたい。
その思いが胸の奥で静かに灯った。



