酷いことを言った。

 何も知らないのに、諦めだの、臆病だの。

 俺が何もできないことの八つ当たりだ。

 ゆ「ごめん」

 心が締め付けられるような痛みが走る。

 ゆ「ユズは学校に行ってて、人生も大方成功する」

 ゆ「俺はどうせ一生このまま」

 言葉を紡ぐたびに、胸の奥が重たくなり、自嘲の笑みが浮かんでしまう。

 ゆ「俺だって、挑戦しろって言われたら拒絶するのに、何も考えずに八つ当たりした。ごめん」

 俺だって、学校に行けばいいことがあるなんて言われたときに嫌だった。

 俺は、そいつらと同じことをしたんだ。

 ユ「ううん 私も突っかかるような言い方した ごめん」

 ゆ「いや、俺がユズの辛さを尊重してなかった」

 ユズは悪くない。

 ただ、俺がユズの言葉を嫉妬の材料にしただけだ。

 ユ「ううん。私が鬱憤をゆうやにぶつけっちゃっただけなんだよ」

 彼女の言葉に苦しさが垣間見え、申し訳なさが募る。


 ただ、さ。

 ゆ「そうだとしても、ただほんの少しありがたかった」


 ゆ「進路の話とか、俺は避けられるから 気兼ねなく言われたのはありがたかった」

 俺は不登校だからって、進路の話を避けられてきた。

 だから、嫉妬してしまったけれど、避けずにいてくれたのは、ありがたかった。

 ユ「そっか」

 その短い返事に仄かな温かさを感じる。

 ゆ「うん またね」

 誰にだって、悩んでいることはある。

 自分がどんな環境下にいたとしても、その悩みを馬鹿にすることはしたくない。