ユ「期末の勉強が辛い」

 やっぱりユズは学校通ってるんだなと、思う。

 その言葉に、少し羨ましさと疎外感が混じる。

 ゆ「期末近いんだ ファイト」

 ユ「頑張るか~」

 伸びをして気合を入れる様子が目に浮かぶ。

 辛いと言いながらも、楽しそうな姿。

 ゆ「ユズは学校好き?」

 ユ「好きってこともないけど、普通かな」

 ゆ「そっか」

 ユ「うん。でも、一応生徒会長やってるよ」

 俺なんかとは違う世界に住んでいる。

 引け目という感情、それはまるで心の中にさざ波が立つような感覚。

 学校のざわざわとしたキラキラとした情景が連想され、吐き気が気管に逆らっていくように上る。

 ゆ「優等生なんだ 凄いね」

 ユ「そう振る舞ってるからね」

 振る舞ってる、本当の自分はそうじゃなくて、演技でもしてるというのだろうか。

 ユ「ゆうやは学校嫌い?」

 ゆ「嫌いっていうか、行ってない」

 優等生に学校に行ってないんだなんて言ったら、どうなるのか。

 数分の間が開いて、「そっか」と、返ってきた。

 ゆ「優等生なのに、行けって、きっと楽しいよとか言わないの?」

 親にも担任教師にも、学校に行けばきっといいことがあるはずなんて適当なことを言われてきた。

 いいことなんか、あるはずない。

 学校に行ってないという事実を送って、僕はいったい何をしたかったんだろう。

 学校に行けって言われて、優等生だっていう画面の相手を嫌いになりたかったのだろうか。

 学校でうまくやれているユズを嫌いになりたかったのだろうか。

 ユ「優等生ぶってるって言ってるのに、やる必要ないじゃん」

 ゆ「そっか 確かにね」

 ユ「またね」

 パソコンを閉じて、久しぶりに学校の教科書を開いてみた。

 学校に行く気が起きたというわけじゃない。

 だけど、学校に行っていない自分が悪いわけじゃないと思えた。