文化祭当日初日。

10時から始まる文化祭の準備のために最終チェックをしている。

現在は9時30分。

姫奈もフロアの配置や飾り付けなどのチェックをし、衣装に着替えに行く宗一郎が見えたので、追いかけて行

った。

「宗一郎くん!」

呼ばれて少し目を見開いた宗一郎は少し驚いていたようだった。

「ちょっと、いいかな」

「あぁ、ここじゃなんだし、ちょっと歩こう」

校内は文化祭の準備をする生徒や、外部から来る人たちへの対応の準備をする先生たちで慌ただしい。

少し歩いてやっと静かになったところで、姫奈は口を開く。

宗一郎がしてくれたように真っ直ぐ目を見つめて。

「この間の、お返事をしようと思って…!」

ある程度予想はしていたのだろうが、緊張した面持ちになる。

「宗一郎くん、あのね…私も宗一郎くんのことが好きです。こんな私でよければよろしくお願いします」

言い終わるやいなや、視界がまたもや暗くなった。

2度目のハグをされているのだ。

「…ありがとう、姫。これからよろしくな」

私を離して、そう言った宗一郎の声は本当に嬉しそうで、心なしか目が潤んでいるようにも見えた。