これから約2週間半をかけて衣装を制作していくことになる。

衣装係は25着をこの短期間で仕上げねばならず、さらに一人一人のイメージにも合わせるため、朝のちょっとした時間にも、ミシン

を使わずに作れるところは作っていく。

基本的に我が校の文化祭は土日の2日開催で、ここら辺の地域では有名な文化祭だ。

そのため、4時間目が終わったらすべて文化祭の準備時間ということになる。

「姫奈ちゃん、ここのフリル部分がどうしてもくしゃっとなっちゃって…どうしたらいい?」

「こういう時はね、こうしたらいいんだよ!」

そういってパパッとやり方を見せると、お礼を言って作業に戻っていく。

こんな感じで姫奈は衣装係のリーダーのような存在になっていた。

そして慌ただしく時間は過ぎていき、文化祭3日前になった。

「「「できたー!!!」」」

衣装係の声がミシンのある家庭科室の中に響き渡る。

そう、衣装がついに完成したのだ。

「じゃあ、早速教室に戻って試着してもらおうか。個人に合わせて作ったから、ちょっと細かい部分の調整もいるだろうし、みんな

それぞれ必要なもの持っていってね」

「「「アイアイサー!姫奈さん!」」」

そういって衣装をそれぞれ持って教室に入る。

すると、教室中から歓声が沸き起こった。

「衣装、できたの!?」

「早く着たい!」

「今回の衣装は一人一人のイメージを崩さないように作ったの。だから、一人一人試着してもらうねじゃあ最初、誰が着る?」

すると、宗一郎が口を開いた。

「俺、最後でいい」

「えー、じゃあ俺が最初に行くね」

そういって出てきたのは、春樹だった。

「じゃあ、その次」

と言ってハルキの横に立ったのは蘇芳。

そんな感じで次々と名乗り上げ、ご丁寧に試着待ちの列が出来上がっていた。

並んでくれているが、細かい手直しもするので、それなりに時間もかかる。

このまま並んでもらっていたら、他の作業が滞るのではないかと悩んでいると、教室の後ろで何かをしていた千佳がこちらにきた。

「はいはーい、接客の皆さーん、そのまま並んでてもこっちの仕事捗らないんで整理券渡すんで番号呼ばれたら試着いってくださー

い」」

ナイスアイデアすぎる!千佳ちゃん!

と心の中で思っていると、千佳がこちらを向いてウィンクをしてきた。

こうなることを見越して作っていたのだ。

なんとも頼もしい。