第1話 4月 それは、何気ない1日だった
朝、目が覚めるとなんだか頭がぼやーっとしていた。
「ねぇ、お母さん。風邪ひいちゃったかも」
「あら!納戸の中に風邪薬があったと思うから後で持っていくわね!それまで部屋で寝てなさい」
「うん、ありがとう」
風邪を引くのなんて何年振りだろうか。
久しぶりだからか結構きつい。
頭も痛いしなんだか寒気もする。
でも、今日が土曜でよかった。学校を休むわけにはいかないから。
部屋に戻って布団に横になっていると、スマホの通知が鳴った。
『なー、国語の宿題見せて欲しいんだけど』
高校になって好きになった同じクラスの宗一郎だ。
『いいよ』
宿題の写真を撮って『どーぞ』のメッセージと共に送信する。
すぐに既読がつき、『ありがと』と返信が来る。
「あら、宗一郎くん?」
「お、お母さん!?いつのまに、、、」
「寝てるかと思って静かに入ってきたのよ。薬、持ってきたから飲んじゃいなさい」
お母さんは私が薬を飲み終わるのを見届けると部屋から出ていった。
彼、宗一郎とは高校2年生の6月にある文化祭で少し話すようになった。
というのも、高校に入学した時から一目惚れをし、その性格のよさにさらに惚れ込んでいった姫奈が勇気を出してクラス企画を準備
している時に話しかけにいったのである。
宗一郎は見た目もカッコよく、性格もいいことから女子にも男子にも人気だ。
なんなら下級生にはファンクラブまであるらしい。
それに比べて姫奈は容姿はいい方ではあるものの、日陰にいる美人、という感じである。
とりあえず早く治すために寝ようと横になり、明日は元気になっていることを願いながら丸一日眠った。
翌日
すっきりした感覚で目覚めた姫奈はリビングに向かう。
「おはよう、お母さん、お父さん」
「あら、もう大丈夫なの?」
「姫奈が風邪とは珍しいなぁ。もう大丈夫なのかい?」
そう声をかけてくれる両親に、もう大丈夫、と返事をしながら食卓に座る。
「風邪が治ったばかりだから体にいい雑炊にしてみたの」
その後あたたかい雑炊を食べて日曜日は安静にしていた。
先週新学期が始まり高校3年生になった。
そのこともあり珍しく体調を崩したのだろう。
次の日登校すると、クラスの子達と次々と挨拶を交わす。
「姫、おっはよー!」
「千佳ちゃん!おはよう」
「姫奈、おはよ」
「瑠花ちゃんも、おはよう!」
この2人とは入学した時から同じクラスのいわゆるいつメンというやつである。
「今日も我らが姫はクラスの人気者ですなぁ」
「そんなことないよ〜だって千佳ちゃんも瑠花ちゃんも朝来たら言われるよね?」
そう聞くと2人は頭を横に振り否定した。
「なわけないじゃん。姫と一緒のクラスになりたがってる子達だっていっぱいいるし」
「そうよ。隠れオタクしてる子達だっているし、実際このクラスにも2年の時姫と同じクラスになりたがってた
子、いるのよ?」
なんと、この自称壁の花、姫奈には隠れファンというものがいるらしい。
「おはよー!」
すると、出入り口に方から声がした。
「お、宗一郎じゃん。今日もイケメンですなぁ」
「ちょ、千佳ちゃん!」
クラス全体によく通る声で挨拶をしたのは姫奈の想い人、宗一郎だった。その後に続き宗一郎と仲のいい|蘇芳
《蘇芳》と春樹も挨拶をする。
この3人はこのクラスのイケメン三銃士と呼ばれており、少しヤンチャな感じの宗一郎とは反対の王子様系イ
ケメンで頭のいい春樹。
そして無口イケメンだと言われている蘇芳の3人で構成
されている。
「うわっやば。このクラス顔面偏差値高すぎだろ」
「わかる。イケメン三銃士と凛ちゃん率いるザ・一軍女子そして一軍じゃないけど姫奈ちゃんたち3人組」
「金髪ギャルの凛ちゃんもいいけどおっとりふわふわ系の姫奈ちゃん、可愛いよなぁ」
そう、このクラスは顔面偏差値が高すぎて拝まれるほどだ。
実際、他クラスの子達が休み時間になるとこのクラスを見に来たりすることが多々ある。
各々ファンクラブがあったりするので、クラスの出入り口が塞がれることも…
「はーい、みんな席ついてーホームルーム始めるわよー」
手を叩き場の空気を正したのはこのクラスの担任である立花先生だ。
艶の黒髪を綺麗にお団子に纏めメガネをかけているキリッとした美人だ。
「じゃー、今日の連絡をします」
そんなこんなで数日が過ぎた。
「けほっ」
風邪を引いた日から数日後の朝、朝から咳とお腹を壊していた。
「あら、大丈夫?何かいけないもの食べちゃったのかしら。病院に行ってみましょう?」
「そうだな、行ってこい。もしかしたら風邪を拗らせているのかもしれないからね。風邪をこじらせると厄介だ
から」
その日は平日だったが学校を休み病院に行った。
「そうですね、咳については風邪をぶり返しているのだと思います。お腹については周りの環境が変わって少し
ストレスを感じているのだと思います。特に問題ありませんので、それぞれに効くお薬処方しておきますね」
「ありがとうございます」
この時はこんな形で体調を崩すのは初めてだったのでそ
んなものか、と納得していた。
朝、目が覚めるとなんだか頭がぼやーっとしていた。
「ねぇ、お母さん。風邪ひいちゃったかも」
「あら!納戸の中に風邪薬があったと思うから後で持っていくわね!それまで部屋で寝てなさい」
「うん、ありがとう」
風邪を引くのなんて何年振りだろうか。
久しぶりだからか結構きつい。
頭も痛いしなんだか寒気もする。
でも、今日が土曜でよかった。学校を休むわけにはいかないから。
部屋に戻って布団に横になっていると、スマホの通知が鳴った。
『なー、国語の宿題見せて欲しいんだけど』
高校になって好きになった同じクラスの宗一郎だ。
『いいよ』
宿題の写真を撮って『どーぞ』のメッセージと共に送信する。
すぐに既読がつき、『ありがと』と返信が来る。
「あら、宗一郎くん?」
「お、お母さん!?いつのまに、、、」
「寝てるかと思って静かに入ってきたのよ。薬、持ってきたから飲んじゃいなさい」
お母さんは私が薬を飲み終わるのを見届けると部屋から出ていった。
彼、宗一郎とは高校2年生の6月にある文化祭で少し話すようになった。
というのも、高校に入学した時から一目惚れをし、その性格のよさにさらに惚れ込んでいった姫奈が勇気を出してクラス企画を準備
している時に話しかけにいったのである。
宗一郎は見た目もカッコよく、性格もいいことから女子にも男子にも人気だ。
なんなら下級生にはファンクラブまであるらしい。
それに比べて姫奈は容姿はいい方ではあるものの、日陰にいる美人、という感じである。
とりあえず早く治すために寝ようと横になり、明日は元気になっていることを願いながら丸一日眠った。
翌日
すっきりした感覚で目覚めた姫奈はリビングに向かう。
「おはよう、お母さん、お父さん」
「あら、もう大丈夫なの?」
「姫奈が風邪とは珍しいなぁ。もう大丈夫なのかい?」
そう声をかけてくれる両親に、もう大丈夫、と返事をしながら食卓に座る。
「風邪が治ったばかりだから体にいい雑炊にしてみたの」
その後あたたかい雑炊を食べて日曜日は安静にしていた。
先週新学期が始まり高校3年生になった。
そのこともあり珍しく体調を崩したのだろう。
次の日登校すると、クラスの子達と次々と挨拶を交わす。
「姫、おっはよー!」
「千佳ちゃん!おはよう」
「姫奈、おはよ」
「瑠花ちゃんも、おはよう!」
この2人とは入学した時から同じクラスのいわゆるいつメンというやつである。
「今日も我らが姫はクラスの人気者ですなぁ」
「そんなことないよ〜だって千佳ちゃんも瑠花ちゃんも朝来たら言われるよね?」
そう聞くと2人は頭を横に振り否定した。
「なわけないじゃん。姫と一緒のクラスになりたがってる子達だっていっぱいいるし」
「そうよ。隠れオタクしてる子達だっているし、実際このクラスにも2年の時姫と同じクラスになりたがってた
子、いるのよ?」
なんと、この自称壁の花、姫奈には隠れファンというものがいるらしい。
「おはよー!」
すると、出入り口に方から声がした。
「お、宗一郎じゃん。今日もイケメンですなぁ」
「ちょ、千佳ちゃん!」
クラス全体によく通る声で挨拶をしたのは姫奈の想い人、宗一郎だった。その後に続き宗一郎と仲のいい|蘇芳
《蘇芳》と春樹も挨拶をする。
この3人はこのクラスのイケメン三銃士と呼ばれており、少しヤンチャな感じの宗一郎とは反対の王子様系イ
ケメンで頭のいい春樹。
そして無口イケメンだと言われている蘇芳の3人で構成
されている。
「うわっやば。このクラス顔面偏差値高すぎだろ」
「わかる。イケメン三銃士と凛ちゃん率いるザ・一軍女子そして一軍じゃないけど姫奈ちゃんたち3人組」
「金髪ギャルの凛ちゃんもいいけどおっとりふわふわ系の姫奈ちゃん、可愛いよなぁ」
そう、このクラスは顔面偏差値が高すぎて拝まれるほどだ。
実際、他クラスの子達が休み時間になるとこのクラスを見に来たりすることが多々ある。
各々ファンクラブがあったりするので、クラスの出入り口が塞がれることも…
「はーい、みんな席ついてーホームルーム始めるわよー」
手を叩き場の空気を正したのはこのクラスの担任である立花先生だ。
艶の黒髪を綺麗にお団子に纏めメガネをかけているキリッとした美人だ。
「じゃー、今日の連絡をします」
そんなこんなで数日が過ぎた。
「けほっ」
風邪を引いた日から数日後の朝、朝から咳とお腹を壊していた。
「あら、大丈夫?何かいけないもの食べちゃったのかしら。病院に行ってみましょう?」
「そうだな、行ってこい。もしかしたら風邪を拗らせているのかもしれないからね。風邪をこじらせると厄介だ
から」
その日は平日だったが学校を休み病院に行った。
「そうですね、咳については風邪をぶり返しているのだと思います。お腹については周りの環境が変わって少し
ストレスを感じているのだと思います。特に問題ありませんので、それぞれに効くお薬処方しておきますね」
「ありがとうございます」
この時はこんな形で体調を崩すのは初めてだったのでそ
んなものか、と納得していた。
