朝、下駄箱で靴を履き替えていると後ろから声が掛かった。
「おはよ」
「あ、おはよう!」
もう、随分と聞き慣れた低い声は、木崎くんのものだ。
最近は、徐々に緊張せずに話せるようになってきて、良い感じだ。
「あ、昨日はありがとうっ…!送ってくれて」
「んや、全然。いつでも送る」
…でもやっぱり、木崎くんの発する一言一言に過剰反応してしまうらしい。
木崎くんと並んで廊下を歩くと、どこからかヒソヒソ声が聞こえてくる。
これにも、少しだけ慣れた。
良い事を言われているのか、悪い事なのかはわからないけど、きっと良い事ではないんだろうな。
やっぱり木崎くんって、モテるんだなあ…
「あ、木崎くんって何座?」
「…星座?水瓶座」
「水瓶座!?じゃあ今日は良い事あるよ」
「はは。え、なに、それ」
「私、毎朝星座占い見るのが日課になっててね、今日は水瓶座が一位だったから」
「へえ。俺見た事ねえなあ」
確かに、木崎くんはきっと星座占いなんて見ないだろうな。
…そんなイメージ無いし。
「朝から飯塚さんに会えたし、それ、当たってんのかも」
「…あ、当たってる…?」
「ん。朝から良い事あった」
じゃ、また放課後に、と続けて、木崎くんは言ってしまった。
…本当に、朝から急に何を言い出すんだろう…
木崎くんのせいで、ドキドキが募っていく。
学園祭も、いよいよ間近に迫っていた。
いつの間にか、木崎くんと毎日顔を合わせることが日常になっているけど、それは、今までだったら非日常な事だったと思い出した。
私と木崎くんが毎日顔を合わせているのは、学園祭の準備のためだ。
という事は、学園祭が終われば木崎くんと会う機会も無くなる。
その事実に、なぜか少し気分が沈むのだ。
「心ー。学園祭終わったら、木崎くんとの接点無くなっちゃうね」
「…ん…?…う、うん!そうだね…」
「いいのー?」
美亜はニヤニヤしながらも、私の心理を探るつもりなのか、近距離で目を合わせる。
「…う、うん…」
「本当に?何とも思わないの?」
「……少し、ね…?…もう少し、知りたい…とは思う、かも…」
満足そうに優しく笑ってくれた美亜は、「それはね、もう好きだよきっと」と言った。
木崎くんが本当に私を好きになる訳がない、木崎くんに私は釣り合わない、そう思っていた。
でも、この数週間で彼が好かれる理由を、私は実感してしまったのだ。
人としては、勿論彼のことが好きだ。
でもそれが恋愛として好きなのかどうかは、正直まだ分からなかった。
「おはよ」
「あ、おはよう!」
もう、随分と聞き慣れた低い声は、木崎くんのものだ。
最近は、徐々に緊張せずに話せるようになってきて、良い感じだ。
「あ、昨日はありがとうっ…!送ってくれて」
「んや、全然。いつでも送る」
…でもやっぱり、木崎くんの発する一言一言に過剰反応してしまうらしい。
木崎くんと並んで廊下を歩くと、どこからかヒソヒソ声が聞こえてくる。
これにも、少しだけ慣れた。
良い事を言われているのか、悪い事なのかはわからないけど、きっと良い事ではないんだろうな。
やっぱり木崎くんって、モテるんだなあ…
「あ、木崎くんって何座?」
「…星座?水瓶座」
「水瓶座!?じゃあ今日は良い事あるよ」
「はは。え、なに、それ」
「私、毎朝星座占い見るのが日課になっててね、今日は水瓶座が一位だったから」
「へえ。俺見た事ねえなあ」
確かに、木崎くんはきっと星座占いなんて見ないだろうな。
…そんなイメージ無いし。
「朝から飯塚さんに会えたし、それ、当たってんのかも」
「…あ、当たってる…?」
「ん。朝から良い事あった」
じゃ、また放課後に、と続けて、木崎くんは言ってしまった。
…本当に、朝から急に何を言い出すんだろう…
木崎くんのせいで、ドキドキが募っていく。
学園祭も、いよいよ間近に迫っていた。
いつの間にか、木崎くんと毎日顔を合わせることが日常になっているけど、それは、今までだったら非日常な事だったと思い出した。
私と木崎くんが毎日顔を合わせているのは、学園祭の準備のためだ。
という事は、学園祭が終われば木崎くんと会う機会も無くなる。
その事実に、なぜか少し気分が沈むのだ。
「心ー。学園祭終わったら、木崎くんとの接点無くなっちゃうね」
「…ん…?…う、うん!そうだね…」
「いいのー?」
美亜はニヤニヤしながらも、私の心理を探るつもりなのか、近距離で目を合わせる。
「…う、うん…」
「本当に?何とも思わないの?」
「……少し、ね…?…もう少し、知りたい…とは思う、かも…」
満足そうに優しく笑ってくれた美亜は、「それはね、もう好きだよきっと」と言った。
木崎くんが本当に私を好きになる訳がない、木崎くんに私は釣り合わない、そう思っていた。
でも、この数週間で彼が好かれる理由を、私は実感してしまったのだ。
人としては、勿論彼のことが好きだ。
でもそれが恋愛として好きなのかどうかは、正直まだ分からなかった。
