-side唯人-
長かった初めての片思いの結末は、ハッピーエンドだった。
俺は、あの時からずっと彼女を見ていて、いつも気になってどうしようもなかったけど、 まさか彼女が好意を寄せてくれるなんて思ってもいなかった。玉砕覚悟で挑んだ告白が、まさかこんな展開になるなんて予想外だったのだ。
彼女と会う事に対して理由がいらなくなること。名前を気兼ねなく呼べること。当たり前のように横に並んで帰り道を歩けること。手を繋げること。
関係が変わるだけで、こんなにも距離が近くなるなんて知らなかった。今までは、いきなりそれ以上のことをしていたくせに、今では段階を踏むことだけで精一杯だ。
そんな事を思い巡らしながら、隣にいる彼女に合わせて歩調をやや遅くする。
最近はいつも、ただ純粋に、心と二人きりになりたい、と思うようになった。やらしい意味は一ミリもなく、だ。
「…こ、ここは…?」
学校からの帰り道で、急に歩みを止めた俺に習って、彼女も立ち止まる。
不思議そうに、俺を見上げる瞳は、真っ直ぐで純粋で、いっそ汚してしまいたくなる。独占欲、なのか。何なんだろう。
「俺の家」
「………え、…ええ!?」
「はは、なんでそんな驚くの」
「だ、だ、だって……!こんな大きなマンション…!」
「上がってかない?」
俺の問いかけに、急に黙った彼女は、どうして良いか分からずに結局じっと俺を見つめた。
…………嫌、かな。
がっつきすぎ…?
でも本気で、これは本当に、下衆い下心なんて微塵も無い。
「嫌?」
「う、ううんっ……そうじゃなくて…、あの…」
急に戸惑い、目線を地面に下げる彼女の姿を見て、言いようのない不安に襲われる。今まで、何かと誘えば二つ返事でOKしてくれる女の子ばかりが、横にいた。仮に断られたとしても何とも思わなかったのに、今は彼女の返事に一喜一憂する日々だ。
色素の薄い、栗色の細くて柔らかい髪の毛に隠れて、その表情は見えない。
次に発する言葉を探していたら、彼女の大きな茶色い瞳が、下から俺を見上げた。
「…い、いいの…?」
そんな目で見られると、感情が乱れて抑えられなくなりそうだった。
俺も男だ。まして男子高生だ。
荒ぶる感情を抑えつつ、それでも漏れ出す可愛さとか愛しさを無視できなくて、彼女の小さな頭に優しく触れてみる。一層、顔を赤くするから逆効果だった。
長かった初めての片思いの結末は、ハッピーエンドだった。
俺は、あの時からずっと彼女を見ていて、いつも気になってどうしようもなかったけど、 まさか彼女が好意を寄せてくれるなんて思ってもいなかった。玉砕覚悟で挑んだ告白が、まさかこんな展開になるなんて予想外だったのだ。
彼女と会う事に対して理由がいらなくなること。名前を気兼ねなく呼べること。当たり前のように横に並んで帰り道を歩けること。手を繋げること。
関係が変わるだけで、こんなにも距離が近くなるなんて知らなかった。今までは、いきなりそれ以上のことをしていたくせに、今では段階を踏むことだけで精一杯だ。
そんな事を思い巡らしながら、隣にいる彼女に合わせて歩調をやや遅くする。
最近はいつも、ただ純粋に、心と二人きりになりたい、と思うようになった。やらしい意味は一ミリもなく、だ。
「…こ、ここは…?」
学校からの帰り道で、急に歩みを止めた俺に習って、彼女も立ち止まる。
不思議そうに、俺を見上げる瞳は、真っ直ぐで純粋で、いっそ汚してしまいたくなる。独占欲、なのか。何なんだろう。
「俺の家」
「………え、…ええ!?」
「はは、なんでそんな驚くの」
「だ、だ、だって……!こんな大きなマンション…!」
「上がってかない?」
俺の問いかけに、急に黙った彼女は、どうして良いか分からずに結局じっと俺を見つめた。
…………嫌、かな。
がっつきすぎ…?
でも本気で、これは本当に、下衆い下心なんて微塵も無い。
「嫌?」
「う、ううんっ……そうじゃなくて…、あの…」
急に戸惑い、目線を地面に下げる彼女の姿を見て、言いようのない不安に襲われる。今まで、何かと誘えば二つ返事でOKしてくれる女の子ばかりが、横にいた。仮に断られたとしても何とも思わなかったのに、今は彼女の返事に一喜一憂する日々だ。
色素の薄い、栗色の細くて柔らかい髪の毛に隠れて、その表情は見えない。
次に発する言葉を探していたら、彼女の大きな茶色い瞳が、下から俺を見上げた。
「…い、いいの…?」
そんな目で見られると、感情が乱れて抑えられなくなりそうだった。
俺も男だ。まして男子高生だ。
荒ぶる感情を抑えつつ、それでも漏れ出す可愛さとか愛しさを無視できなくて、彼女の小さな頭に優しく触れてみる。一層、顔を赤くするから逆効果だった。
