「なあ浜宮さん、なんで俺のお笑い見てくれへんの?」

「うわぁ!」




驚いて本を落としそうになった。

あ、危ない……って、鳳来くん?

鳳来くんは私の机にあごを乗せる形でしゃがんでいた。




「あははっ!ごめんごめん、驚かせちゃったな。で、なんでなん?」




なんでって言われても……




「興味無いだけだけど」

「興味無いやと!?」




バンッ!と机を叩きながら立ち上がった鳳来くん。

色素の薄い茶色の髪が揺れる。

思わずビクッとする。




「う、うん。興味無い」

「まじか……。俺の話に興味無いって人、初めて会ったんやけど……」




めちゃくちゃショック受けてる…。

そ、そんなに自信あったんだ…。

周りからも、マジか…って声が聞こえる。

そんなに面白いのかな?

本のほうが面白いと思うけど…。




「……よっしゃ!じゃあ俺の話に興味持たせて笑いに引きこんだるわ!」

「は?」




なぜか、やる気に満ち溢れている鳳来くん。

なんだか、面倒な事になりそうな予感……

おもわずしかめっ面をしてしまっていたらしく、「めっちゃ嫌そうな顔するやん」とツッコまれてしまった。




「まぁ、今日は笑わせる準備するから、明日から覚悟しときーや!」




明日から……って、もしかして毎日?




「嫌なんだけど。」

「もぅ、そんなこと言わんといて!絶対笑わせたるからな!」




鳳来くんは、すぐに元の場所に戻っていった。

……はぁ?

面倒くさすぎない?

鳳来くんを睨んでいると、穂乃ちゃんが駆け寄ってきた。




「ふふっ、すずちゃん超ラッキーだね〜!」

「どこが!」

「だって鳳来くんが面白いもの、毎日見せてくれるんでしょ?めっちゃいいじゃん!」

「私からしたらよくないよ……」

「まぁまぁ、いつか絶対よかったって思えるよ!」




「そうなのかなぁ……」とつぶやき、ため息をついた。

面倒事が始まった気がするなぁ……

私はしばらく、暗い気持ちで過ごした。