少し辛そうな顔をして言われた。
ー今までみたことない橘ばかり。
嬉しい。
「うん」
私が言葉を発した瞬間、
体を抱えられ、すぐにベッドに連れていかれた。
「悪い、
もっとムードとか大事にしたいのだが、
もう我慢できなくて」
「大丈夫。私もずっとこうしたかったから」
私がそう言って橘を見つめると、
深くため息をついた。
ー何か嫌がること言ったかな?
「それ無意識なんだもんな。」
「え?」
「いや、何でもない。
できる限りでいいから、あまり可愛いこといわないでくれ。優しくしたいから」
ー可愛いこと言った?
そう聞きたかったがキスをされて、
聞くことができなかった。
何度も繰り返しキスをされて、
また息ができなかった。
そのタイミングで体へキスをされ、
優しく体を撫でられた。
キスで力が抜けてしまい、力が入らない。
すると、
体中にチクッという痛みを感じた。
「俺のものだ、絶対渡さない…」
そう呟きながら、
どうやら跡をつけているようだった。
私は橘のものだという印をつけてもらったのが嬉しかったが、
だんだんその数がすごいことに気付いた。
ーおそらくかなりの数の跡をつけられている。
恋愛経験は乏しいけど、
マンガとかだと数ヵ所だった気がする。
「あ、あの。
普通こんなに跡をつけるものなの?」
「普通?
他の人のことなんてどうでもいいだろう」
橘が妖艶な表情で見てくる。
「それとも、まだ他の人とこういうことができると思っているのか?」
「ち、違う」
「こんなこと、俺以外許さない」
ー私の発言は逆効果だったようだ。
「俺以外に目を瞑ったりしてもダメだ」
「下の名前で呼ぶのも嫌だ」
「スッピンを見せるのも俺だけにしてくれ」
懇願するように囁かれながら、
跡をつけられたり、跡を撫でられたりした。
「た、橘だけだよ」
私が必死に返事をしても、
納得しない顔をしていた。
「橘?」
「あ、仁だけ」
やっと微笑まれて解放してもらった。
しかし、もう息もたえたえで、
頭もクラクラしている。
「初めてなのに、優しくしてあげられなくて悪い。
こうして自分の印をつけないと、もっと暴走しそうだったんだ」
少し悪びれた顔をして橘が謝ってきた。
私から見ると余裕そうにみえて、くやしい。
「じゃあ、これから優しくしてくれる?」
私が少し睨みながらも橘の方を見上げた。
おそらく涙目だから、全然怖くないと思うけど。
橘はまた深くため息をついた後、
「煽るなって言っただろう」
そう呟いたと思ったら、
ついばむようにキスをされ、今まで自分でも触ったことがなかったことに触れられた。

