ー急にどうしたんだろう。
何と答えるか悩んだ末、
私は「わからない」と答えた。
正直言うと、人としては好きだ。
でも男性としては、私にはもったいないくらい素敵な人だけど、まだ橘が好き。
でもそんなこと言っても困らせるだけだろう。
好きじゃないなんていうと、
お見合いを辞めた方がいいと言いかねない。
私の返事を聞いて、
「そうか…」とだけ呟いた後、
橘もなにもいわなかった。
マンションの駐車場に着いて、
橘に車のドアを開けてもらった。
降りる瞬間つまづいてしまい、
橘に向かって転びそうになった。
間一髪、
橘が助けてくれたが、抱き締められるような形になってしまった。
「ご、ごめん」
私が咄嗟に離れようとすると、
強く抱き締められ、離れることができなかった。
「あ、あのもう大丈夫だよ」
「俺が…大丈夫じゃない」
言葉の真意がわからなかったが、
またもや顔が赤くなってしまい、
ドキドキして考える余裕がなかった。
少ししてやっと離れたかと思うと、また私の顔を覗き込んできた。
この前と違い、満足げな表情ではなく、
少し安心した表情で、歩いていった。
一体どうしたんだろう?
そう思いつつも、橘に聞けないまま私も後ろを歩いて行った。

