6
「俺は、ゆみが亡くなったってきかされたあの日、かなり傷ついた。現況思い出せなかったのは、思い出したくなかったのは、もうこの世にいないのがすごくやるせなくて、俺自身封印したんだと思う」
言いつのる俺の胸に、焼き付いている姿。
よく笑う、可愛い子だと思った。
柔らかな物腰に、愛らしい仕草。
ピアノを弾いたり歌う時は、凛然とした艶姿。
俺の心が強く引き寄せられたのを、今でも覚えている。
愛おしく、大切にしたいと思っていた。
仕事と学業と忙しいながら、時間を見つけてはゆみに会いに行ったのに。
唐突にいなくなってしまった、胸奥に突き刺さる歯痒い想い。
今まさに、俺は全身全霊に忘れられなかった温もりを感じている。
「……私は、もう歌えません。歌おうとすると過呼吸になり、それは原因不明で声が出なくなってしまうのです」
「ゆみが歌うことは、俺にとっては何も関係ない。俺はゆみ自身が欲しい。安心して、俺の所にいなよ。任せて」
俺は、ぎゅっと抱きしめる。
「そんなことはない。私は、ピアノだって、震えてしまって、弾けません。本当に、もう歌えない、のです……」
ゆみは、目元に浮かぶ涙をこらえながら、途切れ途切れの掠れた声音で言う。
「だから、それは関係ないって」
「歌えないと、何もない。私の中には何も……」
ゆみは、ぷるぷると首を横に振っている。
「ゆみ、俺はそんなものなくてもいい」
「私、その後ずっと、母さんに虐待されて、体もぼろぼろなんです。受け続けた傷跡はまだ痣もあり、酷く疼いていて……。母さんの腹いせ以外に、私には他に使い物なんて……」
ゆみは、泣くのを堪えた声を震わせ、辿々しく言い、両手を立てて、俺から逃げようとする。
「もう、何も言うな」
俺は、ぎりっと歯を噛みしめて、ゆみを胸奥に押しつけた。
「でも、本当のことで、いつか、歌うためにと、まだ処女のまんまだけど。体は虐待で、本当、ボロボロで……」
「体なんて関係ない。だからゆみ、俺に頼ってくれ」
「杉本さん……。だから」
「以前のように、まひとでいい。俺がこれから先ずっと、ゆみを守ってやる。もう何も考えないで俺のそばにいて。ね?」
俺は、決意を込めて、はっきりと告げたーー。
「俺は、ゆみが亡くなったってきかされたあの日、かなり傷ついた。現況思い出せなかったのは、思い出したくなかったのは、もうこの世にいないのがすごくやるせなくて、俺自身封印したんだと思う」
言いつのる俺の胸に、焼き付いている姿。
よく笑う、可愛い子だと思った。
柔らかな物腰に、愛らしい仕草。
ピアノを弾いたり歌う時は、凛然とした艶姿。
俺の心が強く引き寄せられたのを、今でも覚えている。
愛おしく、大切にしたいと思っていた。
仕事と学業と忙しいながら、時間を見つけてはゆみに会いに行ったのに。
唐突にいなくなってしまった、胸奥に突き刺さる歯痒い想い。
今まさに、俺は全身全霊に忘れられなかった温もりを感じている。
「……私は、もう歌えません。歌おうとすると過呼吸になり、それは原因不明で声が出なくなってしまうのです」
「ゆみが歌うことは、俺にとっては何も関係ない。俺はゆみ自身が欲しい。安心して、俺の所にいなよ。任せて」
俺は、ぎゅっと抱きしめる。
「そんなことはない。私は、ピアノだって、震えてしまって、弾けません。本当に、もう歌えない、のです……」
ゆみは、目元に浮かぶ涙をこらえながら、途切れ途切れの掠れた声音で言う。
「だから、それは関係ないって」
「歌えないと、何もない。私の中には何も……」
ゆみは、ぷるぷると首を横に振っている。
「ゆみ、俺はそんなものなくてもいい」
「私、その後ずっと、母さんに虐待されて、体もぼろぼろなんです。受け続けた傷跡はまだ痣もあり、酷く疼いていて……。母さんの腹いせ以外に、私には他に使い物なんて……」
ゆみは、泣くのを堪えた声を震わせ、辿々しく言い、両手を立てて、俺から逃げようとする。
「もう、何も言うな」
俺は、ぎりっと歯を噛みしめて、ゆみを胸奥に押しつけた。
「でも、本当のことで、いつか、歌うためにと、まだ処女のまんまだけど。体は虐待で、本当、ボロボロで……」
「体なんて関係ない。だからゆみ、俺に頼ってくれ」
「杉本さん……。だから」
「以前のように、まひとでいい。俺がこれから先ずっと、ゆみを守ってやる。もう何も考えないで俺のそばにいて。ね?」
俺は、決意を込めて、はっきりと告げたーー。


