溺愛している娘は俺の宝物だった

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 電話の相手は、瀬元とは違う俺の秘書の一人、狩川洋介からだった。

 俺の管理するオフィスから、白井ゆみの件で連絡が入った。

「確か、ユミリアは交通事故で亡くなったはずじゃあ……。よくは調べてはないけど!」 

 あれは4年前、ちょうど二十歳になった頃だった。

 実家のある日本ではなく、友人の噂をききつけて、留学先のアメリカのモダンな装飾の喫茶店。

 仕事と学業に多少なりに疲れていた俺は、噂通りの喫茶店が気に入り通い詰めた。

 露光る、ピアニスト。

 一瞬で、俺は気に入り、恋に落ちた。

 噂にきく癒しを与えるピアノや歌声ではない。

 煌びやかに歌っているピアニストに。

 最初は、自分と同じくらいだと思っていた。

 あとで調べたら、ゆみと同じ年齢、俺より五歳も下だった。

 化粧一つで、こんなに変わってしまうのか?

 今のゆみは、ピアニストの面影はあるが、大人びた化粧はしていなく幼すぎる。

 憂いに帯びた深緑かかった黒の瞳しか、記憶が鮮明じゃないはずだ。

 初めての本気の恋。

 女に夢中になった自分に、酷く困惑した覚えがある。

 儚い、想いだった。

 ようやく二人で出かけるようになった頃、一年もしないうちに、ユミリアは、ゆみは姿を消してしまう。

 探しだそうにも、突然の交通事故で亡くなったと言われてしまった。

 その時の俺は若く力もなく、諦めるしかなかった。