「こんにちは~!」
突然、サロンに明るく無邪気な声が響いた。
困惑する執事の後ろから、無邪気な少年のような笑顔を浮かべた青年がひょっこりと顔を出している。
視界に飛び込んできたのは、陽の光を反射する白金の髪と、きらきらと輝く赤い瞳。
一見すると少年のようにも見えるその人が、楽しげに微笑んでいた。
「やあ、初めまして! 君がリリアナ嬢だね? 会いたかったよ~!」
まるで旧知の仲のように気軽に話しかけてくるけれど、私はこの方のことを知らない。ただ、張り詰めた空気から、只者ではないことは一目瞭然だった。
その瞬間、父が息を呑む音が聞こえた。
「エリオット殿下……!」
思わず声が上ずるほどの驚きをにじませながら、父は慌てて右手を胸に当てる。それから腰を折った。
その動きに私たちもすぐに気づき、慌てて席から立ち上がる。私たちもまた、スカートや礼服の裾を整えて、深く頭を垂れた。
レオン兄様はその場にとどまることなく、すぐにその方のそばに駆け寄り、騎士の礼を取っている。
(いま、エリオット殿下と仰ったわよね……?)
使者ではなく、ご本人が来られたということ。
私は頭を上げられずに、思考を巡らせる。
今日は王宮でのお茶会だった。王家には王子が三人いらっしゃることは把握しているけれど、茶会や夜会で俯いて過ごしてばかりだったせいで、殿下がたが今日のお茶会に参加されていたのかどうかを認識できていない。
第三王子のエリオット殿下。
たしか、王国の中でも魔術の天才と呼ばれている御方だ。
公の場に現れることはあまりなく、自由気ままな人物だと誰かに聞いたことがある。
(先ほど、私の名をお呼びになったわよね……?)
向こうは私のことを知っているみたいで、それが一層どういうことなのかわからない。
「エリオット殿下。なぜ、あなた様が直々にこのような場所へ……」
一見すると平静を保っているように見えた父だったが、その声音には、礼を尽くしながらも困惑と戸惑いがにじんでいた。
「うん! 直接来たほうが早いと思ってね~。ピューンとひとっ飛びしてきちゃった」
エリオット殿下は軽く手を振りながら、あっさりと答えた。
「エリオット殿下。まさかとは思いますが、おひとりでいらっしゃったのですか?」
レオン兄様がおそるおそると言った表情で尋ねている。
確かに、彼の周りには護衛や付き人のような人はいなかった。
そういえば、馬車が近付くような音もしなかった。だとしたら、先触れがあるはずで、だからこそ父たちも来客に不思議そうな顔をしていたのだもの。
「うん、そうだよー」
突然、サロンに明るく無邪気な声が響いた。
困惑する執事の後ろから、無邪気な少年のような笑顔を浮かべた青年がひょっこりと顔を出している。
視界に飛び込んできたのは、陽の光を反射する白金の髪と、きらきらと輝く赤い瞳。
一見すると少年のようにも見えるその人が、楽しげに微笑んでいた。
「やあ、初めまして! 君がリリアナ嬢だね? 会いたかったよ~!」
まるで旧知の仲のように気軽に話しかけてくるけれど、私はこの方のことを知らない。ただ、張り詰めた空気から、只者ではないことは一目瞭然だった。
その瞬間、父が息を呑む音が聞こえた。
「エリオット殿下……!」
思わず声が上ずるほどの驚きをにじませながら、父は慌てて右手を胸に当てる。それから腰を折った。
その動きに私たちもすぐに気づき、慌てて席から立ち上がる。私たちもまた、スカートや礼服の裾を整えて、深く頭を垂れた。
レオン兄様はその場にとどまることなく、すぐにその方のそばに駆け寄り、騎士の礼を取っている。
(いま、エリオット殿下と仰ったわよね……?)
使者ではなく、ご本人が来られたということ。
私は頭を上げられずに、思考を巡らせる。
今日は王宮でのお茶会だった。王家には王子が三人いらっしゃることは把握しているけれど、茶会や夜会で俯いて過ごしてばかりだったせいで、殿下がたが今日のお茶会に参加されていたのかどうかを認識できていない。
第三王子のエリオット殿下。
たしか、王国の中でも魔術の天才と呼ばれている御方だ。
公の場に現れることはあまりなく、自由気ままな人物だと誰かに聞いたことがある。
(先ほど、私の名をお呼びになったわよね……?)
向こうは私のことを知っているみたいで、それが一層どういうことなのかわからない。
「エリオット殿下。なぜ、あなた様が直々にこのような場所へ……」
一見すると平静を保っているように見えた父だったが、その声音には、礼を尽くしながらも困惑と戸惑いがにじんでいた。
「うん! 直接来たほうが早いと思ってね~。ピューンとひとっ飛びしてきちゃった」
エリオット殿下は軽く手を振りながら、あっさりと答えた。
「エリオット殿下。まさかとは思いますが、おひとりでいらっしゃったのですか?」
レオン兄様がおそるおそると言った表情で尋ねている。
確かに、彼の周りには護衛や付き人のような人はいなかった。
そういえば、馬車が近付くような音もしなかった。だとしたら、先触れがあるはずで、だからこそ父たちも来客に不思議そうな顔をしていたのだもの。
「うん、そうだよー」
