本気の恋も三度まで〜恋愛したくなったら同僚がチャンスをくれました

移動した先は店名も書かれていない一見入口もわからない店。慣れた様子で松岡が入っていく。
そこは小さなバーだった。


「一輝がここに女性連れとは、初めてじゃないか?」
松岡に気づいたマスターから声をかけられる。

「おいおい、客に連れのこと言うのはマナー違反だろ?」
「いいじゃないか。本当に初めてなんだから」
くすくすと彼は笑う。
松岡はマスターの案内を待たずにカウンターの端に席をとり茉琴を奥に座らせた。

そう広くない店内だが、適度な距離のカウンター席と二つのスタンドテーブルでは、客の互いの声や、時折聞こえるシェイカーの音が緩やかなBGMのようにここちよい。
静かでゆっくりとした時間が流れ、茉琴の緊張も和らいだ。

高井雄吾と紹介されたマスターは、松岡の友人だという。
高井にお勧めされるままに、普段飲まないカクテルを味わう。