まもなく終業時間を迎えようかという夕方、水野茉琴(まこと)は職場である営業一課のひとつ階下、営業二課のフロアに停止した、上りエレベーターの中でひとり立ち尽くしていた。
エレベーターの扉の前に現れたのは、はにかむ女性と向かい合うデレた先輩の山下。
二人は控えめに目を合わせて言葉を交わすと、山下はエレベーターに乗りこみ、女性は名残惜しそうに扉が閉まるのを見送っていた。
振り返った山下は
「誕生日プレゼントだってよ。食事に誘われたよ」
と照れくさそうにブランドロゴが入った小ぶりの紙袋を持ち上げてみせた。
何も言葉を返さない茉琴に、山下は気まずそうに咳払いをして、目的階へと到着したエレベーターを降りた。
茉琴もノロノロとその後ろに続く。
山下さんもあんな顔…するんだ。
初めて見るその顔にこれまで私だけが知っていると思っていた山下の素顔は素顔ではなかったと思い知る。
エレベーターの扉の前に現れたのは、はにかむ女性と向かい合うデレた先輩の山下。
二人は控えめに目を合わせて言葉を交わすと、山下はエレベーターに乗りこみ、女性は名残惜しそうに扉が閉まるのを見送っていた。
振り返った山下は
「誕生日プレゼントだってよ。食事に誘われたよ」
と照れくさそうにブランドロゴが入った小ぶりの紙袋を持ち上げてみせた。
何も言葉を返さない茉琴に、山下は気まずそうに咳払いをして、目的階へと到着したエレベーターを降りた。
茉琴もノロノロとその後ろに続く。
山下さんもあんな顔…するんだ。
初めて見るその顔にこれまで私だけが知っていると思っていた山下の素顔は素顔ではなかったと思い知る。

