ダメ…倒れそう。
今の声はなんですか?
あまりの色っぽさに意識が吹っ飛びそうで。
ギリギリ、立っていられた。
『ヤバかった?』
稲葉さんの声はまだ色っぽいままで。
「ずるいですよ…いっつも」
いつだって稲葉さんは自分ペースで。
いつの間にかそのペースにのせられてて。
でもそのペースは決して心地悪いものではなくって。
『そう?僕からしたら結衣ちゃんのほうがずるいな』
え?と声が出る。
私…なんかしたっけ?
『結衣ちゃんの笑顔が僕のことドキドキさせてることも知らないでいつも笑ってる。
結衣ちゃんが入院してたとき、僕がどれだけ大変な思いしたか知らないでしょ?』
そんなこと言われたって…知らなかったんだもん。
稲葉さんがドキドキしてるだなんてこと。
『で、僕のこと…好き?』