「じゃあ私…帰りますね もうこんな時間ですし」 気づくともう8時を過ぎていた。 後ろ髪を引かれる思い とはこういう気持ちを言うんだろう。 もっと稲葉さんと一緒にいたい。 でも一緒にいるとキモチを抑えられない。 どうすればいいんだろう。 私が…元彼と別れたのは誰のため? 元彼のため? ううん…違うや。 自分のためだ。 だったら…正直にならないといけない。 そう思い、振り向こうとした途端だった。 「稲葉…さん?」