7日間の恋






『ごめんね、呼び出したりなんかして。

どうしても話したくてね』


申し訳なさそうな顔をする稲葉さん。



「いいんですよ、全然」

そう私が言うと稲葉さんはニコッと笑う。


その笑顔を見れば疲れなんて吹っ飛びますよ

なんて本人に言えるワケがない。



「事故、大丈夫だったんですか?」



『まあまあだね。

車はぺしゃんこ。
結構気に入ってたからちょっとショックだったけど』

稲葉さんは苦笑い。

そして続ける。



『相手は平謝り。

起きたことをとやかく言うつもりないから、こっちが申し訳ないほど謝られて。


ちょっと手を焼いてるところ。

僕的にはいい療養だよ。
最近、仕事ばっかりで疲れてたしね』

それに…

と、稲葉さんは言ったまま黙り込む。


そして俯き、小さな声で呟いた。



『それに、こうしてまた…結衣ちゃんに逢えたんだし』