『僕がたまたま莉巳ちゃんの病室に行ったら結衣ちゃんがいて。
で、聞く気はなかったんだけど…
莉巳ちゃんの話、聞こえたんだ。
僕、莉巳ちゃんがあんなに悲しそうな顔してる理由知らなくて。
いつか話してくれる、って信じてたから。
で、たまたま聞こえた話。
我慢しきれなくなって飛び出した。
ああいうときはね、言葉は本当はいらない。
キミのそばには僕がいる、
そう教えてあげることが1番いいんだ。
よく頑張ったね、って。
よく耐えたね、って。
そう言ってあげることが何より安心することができるんだ。』
「稲葉さんはいったい、何者ですか…」
無意識のうちに言葉が出ていた。
稲葉さんはケラケラと声を上げて大笑い。
『何者って…結衣ちゃん相変わらずおもしろいね』
ひとしきり笑った稲葉さんは言う。
『実は僕、カウンセラーの資格持ってるんだよね。
何者?って質問の答えになったかな?』
辞書で調べれば
『個人の各種の悩みや心理的問題について相談に応じ、
解決のための援助・助言をする専門家。』
と、出ているだろう。
なんだ。
そうだったのね。
稲葉さんは、カウンセラーだったのか。
なら納得だよ。
今までの全てのことに納得できる。
なんか…力、抜けちゃったな。


