「ヘンなこと、言わないで下さい」

いつも通りを装う。


赤くなってるであろう頬を両手で包んだ。

ダメだ…私。


完全にプライベートモードになってるし。



『ま、いいよ。

相手は稲葉だしね。


結衣ちゃん、頑張ってね。

じゃ俺は先に戻るわ


ごゆっくり、結衣ちゃん』


津川さんはそう言って病室を出て行った。


ちょっと津川さん?

どういうつもりですか…っ



『結衣ちゃん、そこ、座って』

津川さんがいなくなってあたふたする私に稲葉さんは優しく声をかける。



『昨日はごめんね。

あいさつもしないで出て行っちゃって』


私は俯き、懐かしい声に耳を澄ませる。



あのとき…怪我をしたときはまた、再会できるなんて思ってなかった。


本音を言えば、涙が溢れそうだった。

大好きな人と再会できたんだから。