『冗談はこのへんにしとくよ。
だからさ、そんな目で見んな』
津川はそう言いながら僕の肩に手を置いた。
『うるせぇーよ、お前
早く帰れや』
僕は冷たく突き放す。
1人でいたいんだ。
今は…1人で泣きたい気分なんだ。
『なぁ…稲葉』
でも津川は僕の肩に手を置いたままで。
どうやら帰る気はないらしい。
『俺ら、同僚である前にダチだよな?
なんでも…言えよ。
1人で抱え込むな。
1人寂しく男泣きなんて…やめよーぜ』
堪えることができなかった。
ウザイ津川が似合わないことを言うせいで、
僕は泣くはめになってしまった。
『話…いくらでも聞いてやる』
そう言う津川に答えようと思ったが、涙が邪魔して何も言えなかった。


