「お疲れ様でーす」
他の先生たちが次々と帰って行く中、
僕だけはイスに座ったまま動くことができなかった。
溢れそうになる涙を堪えるのが精一杯で。
何か言えば、今にも泣き出しそうだった。
だから帰って行く先生方に頭を下げることしかできなかった。
常に賑やかなこの場所が静かになるのは少しおかしくて。
静かなところが嫌いな僕にとっては苦しくて。
でも今は、ずっとここにいたい気分だった。
『あれ?まだお前いたの?』
この能天気な声…アイツか。
『やけにテンション低いな』
どうしてこんなときにコイツがいるんだ。
『……なんだよ、津川』
『あれ~?
声、震えてんぞ、お前』
あー…ムカつく。
コイツはいちいちうるさいんだ。
ただでさえ、常日頃から鬱陶しいのに
今日の気分じゃもっと鬱陶しい。


