『もしかして僕がロリコンだってこと信じてたの?
ふふ、笑わせないでよ。
あんなの冗談だよ』
そんなことだって分かってた。
分かってたはずなのに…
私は言う言葉が見つからなくて
ひたすら、涙を堪えようとしていた。
『それじゃ』
稲葉さんは私に背を向けて歩いて行く。
『あ、結衣ちゃん』
立ち尽くす私に稲葉さんの声が届く。
悔しいけど、無視はできなかった。
『元気で…ね』
そのまま遠ざかっていく傍にいて当たり前になっていた背中。
稲葉さん…どうしてですか?
あのまま、冷たくされたままだったらキライになれたかもしれないのに。
どうして…最後の最後に優しくするんですか?
稲葉さん……っ!!


