7日間の恋







『………結衣、ちゃん?』


自分でもビックリしていた。

私は、1人でベットを降りて、稲葉さんのあとを追った。


廊下で稲葉さんの名前を叫ぶ。

ゆっくり振り向いた稲葉さんは、目を丸くしていた。



稲葉さんが1歩1歩私に近づいて来る。



「私…私は…」


目の前に稲葉さんが来て、私の鼓動の速さが増す。



『結衣ちゃん?

なんか…勘違いしてない?』


稲葉さんはあの笑顔を見せてはくれず、

厳しい目をしたまま、言葉を発した。



『ちょっと優しくしたからって勘違いしないでよ。

僕は最初から結衣ちゃんみたいな子ども、相手にしてないよ?』


稲葉さんの冷たい言葉に私は凍り付く。


でも、分かってた。

私は…子どもなんだもん。


こうなって当たり前…


心の中でそう思っていたはずなのに。

そう、割り切っていたはずなのに。



どうしてだろう。


涙が、止まらない。