あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─

その言葉を聞いた瞬間、感情の制御が出来なくなった。


『っ、お前……!』


殴りかかろうとしたとき、腕を掴まれた。



『なんで!? 離せ、怜!!』


『冷静になって、乃亜』



なんで? お父さんを、殺されたんだよ……?


なんで、そんなに冷静でいられるの!? 悲しくないの!?



怜を怒鳴ろうとしたとき、怜も冷静じゃない事に気が付いた。


涙を瞳にためながら、あいつを睨んでいた。


あたしを掴んでいる手にもかなり力が加えられていて、食い込む怜の爪が痛い。



いつも温厚で、のんびりとしている怜とは、全く違ったんだ。