あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─


「乃亜ちゃん、乃亜ちゃん! 先生に呼ばれて……っ」





あたしの方を振り向いた琴音ちゃんが、そう言ってくれた。


でも、あたしの顔を見て、言葉を止めた。





「の、乃亜ちゃん……?」


「……」





あたしは、一体どんな表情をしていたんだろう。





あたしは無言で席を立って、黒板の前に立った。



黒板に書かれた問題を見て、先生の方を見る。





「……先生。これ、大学の問題ですよね」


「ええ、その通り。でも、この学校は名門校なのよ。これぐらい解けないと……」


「そうですか……なら、先生も、この問題解けますよね?」


「は?」


「こんな名門校にバカな教師が居るわけないでしょう」


「っ……いいから、さっさと解きなさい!!」


「図星ですか? まあ、いいですけど」





あたしは、かなり怒っている。


白夜に対して、だけど。




憎い。憎くてたまらない。


そんな怒りが、ずっとあたしの体の中にあるんだよ。




復讐するまで、絶対に消えない怒りが。





普段は、あそこまで教師相手に言わないけど。


今日だけは、いいよね?