「乃亜ちゃん、乃亜ちゃん! 先生に呼ばれて……っ」
あたしの方を振り向いた琴音ちゃんが、そう言ってくれた。
でも、あたしの顔を見て、言葉を止めた。
「の、乃亜ちゃん……?」
「……」
あたしは、一体どんな表情をしていたんだろう。
あたしは無言で席を立って、黒板の前に立った。
黒板に書かれた問題を見て、先生の方を見る。
「……先生。これ、大学の問題ですよね」
「ええ、その通り。でも、この学校は名門校なのよ。これぐらい解けないと……」
「そうですか……なら、先生も、この問題解けますよね?」
「は?」
「こんな名門校にバカな教師が居るわけないでしょう」
「っ……いいから、さっさと解きなさい!!」
「図星ですか? まあ、いいですけど」
あたしは、かなり怒っている。
白夜に対して、だけど。
憎い。憎くてたまらない。
そんな怒りが、ずっとあたしの体の中にあるんだよ。
復讐するまで、絶対に消えない怒りが。
普段は、あそこまで教師相手に言わないけど。
今日だけは、いいよね?

