あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─

『組長……! 敵襲、です……っ』



体中をけがして、お腹に手をあてながら、一人の人がそれを伝えに来た。


お父さんもお母さんも顔を真っ青にして動揺していた。



『どこの連中だ!?』


漣組(さざなみぐみ)です……! 怪我人もいて……っ』


『お前も怪我人だろ!? 休んでいろ!』



漣組……確か、世界No.2の組だ。


でも、あたしたちの組とは違って、人殺しだって簡単にする、正統派じゃない組……っ。



怜奈(れいな)! 二人を、安全なところへ!』



お父さんがお母さんにそう言うのを聞いて、あたしはお父さんに向かって叫んだ。



『お父さん! あたしも怜も戦える!! だから……っ』


『そうだよ! 銃弾だって、避けられるんだ……!』


『これは、本当に危険な戦いなんだ!! 二人は、絶対に死んだら駄目なんだ……っ!』


『っ、でも……っ!!』


『二人の気持ちは分かる。でも、今は、お父さんの言うことを聞いてあげて……?』



……お父さんもお母さんも、切羽詰まったような表情をしていた。


あたしたちが、ここでわがままを言っても駄目だよね……。



『……わかった。でも、絶対に帰ってきてね、お父さん』



怜がそう言うと、お父さんは安心した表情を浮かべた。



『さあ、二人とも。急ぎましょう』



お母さんに言われて、屋敷を離れようとしたとき。


後ろからお父さんの声が聞こえた。