「ねえ、望月さん」



「っ、な、なに……?」




怯えているのか、琴音ちゃんは顔をこわばらせながら愛莉ちゃんを見た。


すると、突然、愛莉ちゃんは頭を下げた。



えっ?



あたしも、美奈ちゃんも、琴音ちゃんも、動揺している。心なしか、夏希さんも。




「今まで、ごめんなさい。散々悪口を言って、困らせて。許してもらわなくてもいいわ。ただ、謝っておく」


「……なんで、急に?」


「……乃亜に言われたからよ。ただ、それだけ」




顔を背けてそう言うと、琴音ちゃんが驚いたようにあたしを見た。




「の、乃亜ちゃんが……そう、言ったの?」


「あたし、謝れとまでは言ってないよ。まあ、悪口を言うのはやめてって言ったけどね」


「そう、なんだ……あの、神崎さん! 私、もう許す。もういいよ」




あっ、神崎さんっていうのは、愛莉ちゃんのことだよ!


和解したみたい? それなら、よかった。



すると、今度は、愛莉ちゃんが夏希さんを指さした。




「夏希! あたし、あんたのことが好きだったの」


「っ、は!? なんだよ、急に……!」


「望月さんに嫉妬してたのよ。でも、もうどうでもいいわ。二人でどうぞお幸せに!」


「あ、愛莉……」


「美奈、乃亜。戻りましょう」


「え、あ、うん……」



半分やけになってたけど、良かったのかな……?


まあ、ちゃんと謝罪してたし、告白もしてたし? 



やっぱり、愛莉ちゃんっていい子だよね。


あたしは、くすりと微笑んでから席に着いた。