あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─



まあ、仕方がないよね?


復讐のためだもん。



文句なんて、言ってられない。




机の上に置いたカレンダーを見て、今日の日付を確認する。



6月10日。この時期の転校としては、かなり不自然だ。



あたしは、ぱっと起き上がって、机の上にあるミニカレンダーをめくった。




11月25日に書かれた赤い『✗』を見て、あたしは唇をかみしめる。




ねえ、お父さん、お母さん、怜。


あたしのこと、やっぱり憎んでる……?



一人だけ普通に生きているあたしが、憎いの……?



時折、夢を見る。三人があたしに悪意のある視線を送ってくる。



「なんで、お前だけ普通に生きている?」


「逃げるなんて卑怯者」


「お前のせいで俺たちは死んだんだ」



あたしが、悪いから。バカなあたしが、本当に憎らしい。





あたしが一番大っ嫌いなのは、漣じゃないかもしれない。





あたし自身、なのかもね。