あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─

あたしが考えていると、漣は驚いたように目を見開いていた。



「……? なんですか?」



「あ、いや……」




……歯切れが悪いのは嫌いだ。




「何か気になる事がありましたらどうぞ?」



「いや、いい……」



「そうですか」




あたしは、ほとんど話すつもりがない。



一刻も早く一人になりたくて、あたしは部屋に駆け込んだ。










「……あいつ、俺のことがどうでもいいのか……? 顔目当てでも、姫目当てでもない……?」



漣が、ぽつりと呟いたことなんて、あたしは気が付かなかった。