あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─

「……ちっ」



舌打ち丸聞こえだし……なんなの?


ま、いっか。


わざわざ聞かなくても、あたしは彼が『漣 玲夜』だって知っているから。




「初めまして、花宮 乃亜です。よろしくお願いしますね」



「……よろしくしなくていい」



「そうですか?」




あたしだって、よろしくなんかする気はない。


ただ、復讐のため。少しでも話を聞き出さないと。



さっきまでは大嫌いな人と同じ部屋での生活だと言う事に絶望していたけれど、そう言う意味では運が良かったかもね?




「……お前は、そこの部屋を使えばいい」



そう言って、漣は一つの部屋を指さした。


それにしても、この寮は部屋の数が多いな……部屋だって余ってるみたいだし。




「それから、俺とお前の接点はできるだけ作りたくない。一緒に登校するつもりもない」


「あたしはいいですよ。あたしは、あなたよりも先に登校しますから」




あたしは、別にそれで構わないんだ。むしろ、そっちのほうがいいくらい。


情報を聞き出すと言っても、登校まで一緒にする意味はない。


いや、仲良くなった方が情報は聞き出せるのかな?