あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─


【乃亜 side】



ゆっくりと、おろされたフード。


あたしは、彼の素顔を見て、殺気が失せた。




正気に、戻った。






どうして、ここにいるの?



本物なの?






「―――――れ、い?」






その名前を呼ぶと同時に、目から大粒の涙が零れ落ちた。



それを見て、にこりと笑う。






「……久しぶり、乃亜」







その顔を見て、安心したのか。



あたしの涙腺が決壊した。






「う……っ、あ……っ! うわあああっ……!」





その場に、崩れ落ちる。


あたしは、子供のようにわんわんと泣き喚いた。





それに気付いて、あたしの体をそっと抱きしめて、背中をとんとんと叩く。



感じるぬくもりが、生きているってことを感じさせられた。





「ごめんね、一人で抱え込ませて。辛い思いさせて」



「あ、たし……っ、お父さんも、お母さんが、いなく、なって……怜まで、いなくなって……ひとりぼっち、だって……っ」





途切れ途切れのあたしの声を、しっかり聞いてくれる。



怜は、あたしと目をしっかりと合わせて聞いてきた。






「うん。今回は気絶させずに正気に戻ったみたいだ。で、乃亜。聞きたいんだけど」



「なに?」



「……俺が白夜にやられたと思って、白夜に復讐したわけ?」





え、違うの?





「そう、だけど」



「……違う。俺はあの時、玲夜のピアスを渡して『白夜が襲われてるから助けて』って言いたかったんだ」



「はあ!? なにそれ」



「それはこっちのセリフ。で、正統派の白夜を攻撃した、と」



「いやいや、それは仕方がないって……」





じゃあ、全部あたしの勘違い?



白夜は、正統派だったの?